PROJECT STORY 03
ラズベリーパイ+(Python/OpenCV/AI)を中心とした画像処理技術の実験プロジェクト
中部・東海ビジネス事業部
浜松事業所
プロジェクトの経緯・課題
お客様の“やりたいこと”に対して、「何がどこまでできるか」を検証する。やってみないとわからない、見えないゴールに向けた挑戦。
以前から、お客様は工場のラインにてエンジンの外観写真を撮影していました。
その中で、「外観写真を利用して部品のチェックができないか?」「ステレオカメラを使って対象物の深度が測れないか?」など、オープンソース技術を使った、“やりたいこと”が次々と湧き出ていました。
そこで、2019年1月より、お客様とTSOLは協業という形態で、まずは「実験のお手伝い」からスタートしました。これは、ラズベリーパイ+(Python/OpenCV/AI)を中心とした技術で「何がどこまでできるか」を検証するプロジェクト。お互いに「やってみないとわからないことへの取り組み」でしたから、ゴールがどこにあるのかわからないという難しさへの挑戦でもありました。
解決方法
最終的にやりたいことではなく、手前にある課題から一つひとつ解決。踏み進めて得られたものが次のステップへと進む武器となっていく。
まずは段階を踏んで一つひとつ課題を解決しながら進めるという方法をとりました。最初の課題はPython技術者の育成でした。お客様も我々もPythonの実務経験がない状態でのスタート。そこでまずは、最終的にやりたいことではなく、「AIのディープラーニングに投入させるための画像増殖アプリ」の作成から着手しました。
このアプリ作成を通じて、以下を得ることができました。
1.Python技術の習得
2.OpenCVによる画像処理のイロハの吸収
3.後工程で使用可能な共通ライブラリの作成
4.1で習得した内容の資料化+お客様へのPython講習会の実施(要員育成)
そして、これらは私たちにとって、実験を行うための武器になったのでした。
開発における課題
やってみないとわからない。意図したパフォーマンスで動かないことも多々生じる。ときには大幅な見直しなど、七転八起しながらの開発。
最終目標は、ラズベリーパイ(以降ラズパイ)というカードサイズのシングルボードコンピュータに、USBカメラを接続した「安価なシステム」を構築することでした。
開発はPC上で行い最終確認をラズパイ上で行うスタイルをとりましたが、ラズパイは安価な反面、処理能力が非力でした。そのため、PC上では意図したパフォーマンスで動いているのに、いざラズパイで動かしたら遅くて使い物にならないということが多々発生しました。そのたびに原因箇所を見直しましたし、ときには処理自体をラズパイ側で行うことを諦め、サーバ側で処理させる等の大幅な仕様の見直しも実施しなければなりませんでした。
お客さまの反応や将来の展望
要件整理もあいまいなまま、たびたびの要求変更、追加…。手探り状態で、課題を紐解きながら形作ることへの労りや感謝の言葉をいただく。
今回は通常のシステム開発とは違うアプローチでの仕事。お客様も「AIや画像認識の世界は情報が公開されていることから、習得しさえすれば自分たちで安価にシステム構築できるのではないかという出発点から、お願いしました。ですが、『言うは易し行うは難し』。ハードウェアもソフトウェアも初物づくしでしたから、開発作業は大変だったのではないでしょうか」と話しています。
「最終的に、お互いに幅広い知識を手に入れられただけでなく検査システムとして形になってきました。仕様書もなく要件整理もあいまいな状態でよくお付き合いいただけたなと思います。ありがとうございます。」との言葉をいただけました。